令和7年第2回千代田区議定例会 代表質問(全文)
議長/次に、千代田区議会自由民主党を代表して、19番小林たかや議員。
小林議員/令和7年第2回千代田区議定例会に当たり、千代田区議会自由民主党を代表して質問をいたします。
現在我が国は人口減少、少子高齢化に加え、国際情勢の不安定化や、食料、エネルギーをめぐる課題など、将来にわたる国家の持続可能性が問われる時代にあります。
こうした中で、国政において、小泉進次郎農林水産大臣の下、国産米をはじめとする国内農業の再評価や需給バランスを見直し、国内の消費の拡大に向けた取組が進められ、日本の食と農に新たな希望が生まれつつあります。
私たち、千代田区議会自由民主党は、国の政策が地域社会に根づき、区民の暮らしの安心と将来の希望につながることこそが、地方自治体の役割であるとの信念の下、日々の区政に取り組んできております。
とりわけ、首都千代田区においては都市のつながり、子どもたちへの食育や国産農産物の活用、さらには、フードロスの削減といった 地域社会の持続可能性に直結する政策が今まさに求められております。
国や東京都の方針と歩調をあわせつつ、区としての主体性を発揮し、住民に実感の届く施策を着実に進めていくことが私たちに課された責務であると考えます。
以上、6点について質問いたします。
まず、はじめに
【1】区政運営の基本姿勢・議会との関係について
お伺いいたします。
令和7年第1回定例会における、当会派・大坂隆洋議員の代表質問では、区長に対し、今後の区政運営の基本的な方向性や政策判断の軸についてお伺いしました。
しかし、御答弁は区民の声を丁寧に受け止める、誰もが幸せと豊かさを感じられる新時代の千代田をつくるといった理念的な表現にとどまり、限られた財源、人材の下で何を最優先とし、どの順序で実現していくのかという具体的は判断基準や道筋が見えてきませんでした。
方向性が分からないまま、車を走らせているようなもので、目指す理念は語られても、どの道を通るのか、どの時点をいつ通過するのかといった具体的な計画が示されていないのでは区民も議会も納得のしようがありません。
さらに、区長が選挙に際して掲げた重点施策は次の3本の柱があります。
1、災害防災対策の強化による世界一安心、安全な町。
2、子育て介護障害福祉の充実による一人一人が輝ける社会。
3、環境デジタル、文化スポーツの推進による100年後も持続可能な都市。
これらの理念や方向性自体には異論はありませんが、何をいつまで、どの程度、実現するのかといった具体的な数値目標や進捗を図るための工程表、評価指標などが示されておりません。
防災拠点の整備目標、子育て支援の利用実績、公共施設の更新スケジュールといった、具体的な情報がなければ、施策の実行性や成果の検証ができません。
単なる理想の羅列にとどまってしまう危うさを強く感じております。
加えて、ここ数年の区政運営においては、議会への事前説明や情報提供がないまま、施策の内容が報道によって初めて明らかになる報道先行の事例が相次いでおります。これは、区民代表である議会が軽視されていると受け取られかねない深刻な問題であり、議会制民主主義の根幹に関わる問題です。
以上のような問題意識に基づき、以下の2点についてお伺いします。
1、今季の政策の最重点とその進捗状況について区長が選挙で掲げられた3つの重点施策を具体化するには、限られた人材・人員の中で、分野 ごとのどの優先順位を明確にし、どこに、どれだけのリソースを集中投下するのかという戦略的な判断が不可欠です。
ついては、下記の点についてお伺いいたします。
今期、4年間で区長が特に優先して取り組むべきと位置づけている政策分野はどれですか。
各重点施策について、どのような数値目標や、成果指標を設定し、どのように進捗を管理していくのか。
それらの進捗状況や成果について、議会や、区民にどのように報告、公開していくのか。
工程表は中間報告の作成、公表の方針も含めてお示しください。
2、議会との関係と報道先行の是正について。
地方自治における二元代表制の執行機関と議決機関がそれぞれの立場を尊重し、連携しながら区政を支えることが求められます。
しかし、近年、重要な政策方針について、議会への説明がないまま、メディア報道で初めてその内容が区民に知らされるといった報道先行の事案が繰り返されております。
これは議会に対する説明責任を軽んじていると受け止められても仕方がありません。
ついては、以下の点についてお伺いします。
このような報道先行の事案について、区長はどのように認識しているのか。
再発防止に向けた情報提供のルールの見直しや具体的な是正策を講じる意思があるのか。
特に、常任委員会や議会への事前説明を制度的に義務づけるような仕組みやルールの整備について区長の見解をお伺いいたします。
また、区長には二元代表制の下で議会の役割をどのように認識しているのか、議会との信頼関係をいかに構築、維持しながら区政を運営していくのか、今後の基本姿勢についてもお示しください。
次に
【2】町会・地域コミュニティについて
質問いたします。
令和7年第1回千代田区議会定例会において、当会派、大阪隆洋議員の代表質問で、町会・地域コミュニティの持続可能性に深く関わ る課題として、加入率の低下や役員の高齢化、活動の担い手不足を取上げました。
あわせて、こうした課題に対する制度的支援の必要性や地域に根ざした祭礼文化への支援が地域の絆の再生につながることを訴えました。
これに対し、区の御答弁では地域の実態を丁寧に把握し、担い手の確保や役員の負担軽減、祭礼文化の支援、防災対策との連携にも取り組むとの方針が示されました。
そこで、今回は以下の点について、さらに具体的にお伺いいたします。
1、加入促進と担い手育成に向けた具体策についてです。
町会の加入率低下や担い手の不足は、地域コミュニティの持続性を脅かす問題です。
本区においてもこれまで町会活動に対する補助制度やウェブ発信支援等が実施されてきましたが、町会の側から「若年層や子育て世帯が参加しづらい」、「活動の負担が偏っている」「次世代の関与をどう広げるのかが見えない」といった声も多く聞かれます。
他の自治体では、こうした問題に対応すべく、若年層や子育て世帯へのポイント付与制度、町会業務のDX支援(帳票作成の簡略化、オンライン会議支援等)、 町会財務状況の定期公開による透明性の向上といったインセンティブや制度的後押しが導入されております。例えば京都市では、「地域コミュニティ活性化推進条例」及び「実施要項」に基づき、地域活動への新たな参加促進の仕組みとして、世代を超えた関わり方を設計した支援メニューを整え、地域ごとに担い手育成やネットワーク形成に制度的支援を行っております。千代田区としても加入率の向上や担い手確保に向けたこうした具体的な仕組みの導入、また、DXや財務情報の公開を含めた信頼性・透明性の向上、そして担当課を横断した連携体制の構築や 予算措置・条例化の検討を進めるべきと考えますが、区の所見をお伺いいたします。
2.担い手の育成と地域文化支援の連携について。
担い手の確保・育成を促す上で、地域に根ざした文化や祭礼行事などを単なる「文化振興」としてではなく、「地域再生」の視点から捉え直すことが最も有効です。
特に、祭礼や伝統行事は地域の誇りとつながりを生み出し、世代を超えた住民の参加を誘発する契機となります。
本区においてもこうした祭礼文化の支援を通じて、地域参加の入り口を広げ、若年層や新住民が自然に関われる環境づくりを進めることが求められ ますが、今後の取組方針についてお答えください。
また、防災や防犯との連携については、京都市のように警察・消防・地域住民が協力して行う「文化財パトロール」等の事例も参考になります。本区においても文化財の有無にかかわらず、町会と連携した地域見守りパトロールや防災訓練等の取組を通じて、町会活動の公益性と実効性を可視化し、住民の信頼と参加意欲を高めていくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
次に
【3】地域経済の活性化支援について
お伺いいたします。本区は、まちみらい千代田や地域金融機関、商工会議所などと連 携し、地元中小企業への支援を継続してきました。「千代田ビジネス大賞」創設から17年、これまでの取組が着実に実を結び、支援施策のブランド価値も育ってきたと認識しております。
今後も創業しやすく事業継続のしやすい環境整備を進めていることは、空室率の改善や地域全体の活性化にもつながると確信しております。従来は資金調達支援が中心でしたが、近年は調達手段の多様化とともにリスク管理や情報支援の必要性が高まっております。コロナ禍のセーフティネット保証は6月末に終了し、経営相談窓口の人員も縮小されましたが、物価高によ る経営圧迫は続いております。
こうした中で、以下の点についてお伺いいたします。
まず
1、経営相談体制の縮小を踏まえ、今後、区はどのような姿勢で中小・零細企業や商店への支援を継続していくのか。
また、企業の信用力を補完する支援の在り方について、区の御見解をお伺いいたします。
2、今年度中に経営相談予約システムが導入される予定と承知しておりますが、体制縮小との整合性についてどのように図っていくのか相談の質と量をどのように確保していくのかお聞かせください。
続いて、創業支援についてお伺いいたします。
創業は新たな産業と技術革新の芽であり、淘汰を前提としつつも創業しやすい環境づくりは社会全体の活力の源であり、行政の重要な役割です。令和6年第4回定例会で当会派の代表質問において、西岡めぐみ議員よりまちみらい千代田が主催する起業塾、とりわけ女性起業家編への言及がありました。高い人気を誇る講座でありながら、今年度は回数が減り、女性向けコースも実施されないと聞いております。実際、応募開始直後に定員が埋まるほど人気を博していると聞き及んでいます。
3、こうした状況にもかかわらず、今年度の開催回数は前年度より減少し、女性起業家編も実施されておりません。区はこの事実を把握しているのか、また、支援の縮小をどのように受け止めているのか、御所見をお伺いいたします。
4、再開発に伴い、まちみらい千代田の今後の在り方も庁内で検討されていると承知しています。もし、同法人が起業塾を継続できない状況であれば、区が必要なサポートを行うべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。
5、創業支援には、区・まちみらい千代田・金融機関などの連携が不可欠です。区単独での支援には限界があり、相互補完の観点が重要です。各機関との連携は十分に機能しているのか、お聞かせください。
最後に
6、「産業振興基本計画」についてお伺いいたします。
社会情勢が大きく変化する中、現行計画の対応性は十分でしょうか。
また、次回改定に向けた課題と進捗状況の把握について、区の御見解をお伺いいたします。
次に、
【4】中高生世代応援手当について
質問します。
令和7年度予算に新たに組み込まれた本制度は、子供1人当たり月額1万5000円を支給するという都内でも先進的な現金給付策です。保護者への経済的負担を一定程度軽減するものであり、子育て世帯への力強い支援として評価いたします。
しかしながら、今、区長及び教育長にお伺いしたいのは、単なる家計補助の域を超えて、この施策を通じて、区がどのような中高生世代の暮らしや学びを実現しようとしているのか、そして地域社会にどのような未来像を描いているのかという政策全体の方向性です。この手当てを出発点としてどのような社会的価値を創出し、どのような地域社会を構築につなげていくのか、制度の根底にあるビジョンをまず、明確に説明していただきたく思います。
その上で、以下、4点について、具体的にお伺いします。
1,制度上の目的と方向性等について。
本制度はどのような中高生の課題に対し、暮らしや学びをどう支えるものと考えているのですか。
千代田区における子育て施策の全体の中でどのような役割を担うのですか。
また、将来的に目指す地域像や教育環境の在り方について、政策的な位置づけを明確にお示しください。
2、成果指標と波及効果の見通しについて。
進学支援や部活動、習い事、家庭内教育など、支援による波及効果をどのように見込んでいるのですか。
教育格差の是正や学びの機会の充実といった観点からどのような成果指標を設定し、どのように政策効果を検証・評価していくのでしょうか。御所見をお伺いします。
3、施策の体系化と中高生の居場所つくりについてお伺いします。
給食費の無償化や各種所得制限の撤廃など、近年の施策は成果を上げつつありますが、断片的な印象も否めません。
それぞれ施策を一貫性のある政策体系としてどうして、都として整備し、中高生支援全体をどのように展開していくのですか。
また、文京区のビーラボのように、放課後や休日に中高生が主体的な関わる居場所の整備について、本区としての考えをお聞かせください。
4、財源の確保と制度の持続性について。
現金給付を継続的に行う制度である以上、将来的な財源の安定性が問われます。予算規模や財政の健全性と両立させながら、この制度を持続的に運用していくための方針や見通し、必要に応じた制度改善の考え方について、区の基本的なスタンスをお伺いいたします。
この制度が未来を担う中高生世代の投資として、確かな意味を持ち、生活や学びの充実、そして地域の活性化へつながることを願って質問といたします。
次に
【5】和泉小学校及びいずみこども園等の施設整備について
お伺いします。
和泉小学校、並びにいずみこども園は竣工から既に37年が経過しており、施設の老朽化への対応が喫緊の課題となっております。
児童、園児が毎日過ごす教育保育の場として、安全性や快適性、そして機能性の確保はもはや待ったなしの状況であると認識しております。や待ったなしの状況であると認識しております。
こうした中で、区では、現地での建て替えではなく、隣接する和泉公園の敷地への移転建て替えを検討されていると伺っております。この計画は単なる施設移転にとどまらず、学校に隣接する土地の購入や旧和泉町ポンプ所跡地の活用、さらには和泉公園との一体的な整備といった、複合的かつ将来を見据えた視点跡地の活用、さらには和泉公園との一体的な整備といった、複合的かつ将来を見据えた視点が求められる重要な事業であります。特に、公園と校庭の兼用といったアイデアは、都市空間の有効活用といった点で意義ある構想である。
一方で地域住民の皆様の生活環境に大きな変化をもたらす可能性があることから、丁寧な検討と十分な説明が 必要不可欠です。
また、施設移転に伴い、通学路や交通導線にも影響が及ぶことは避けられません。横断歩道の移設や交差点の変更など、児童の安全確保と地域全体の利便性維持の両立を図る上で非常に重要な課題です。
こうした交通対策は区の単独判断で進められず、警察との調整、協議が不可欠であります。また、一定の時間を要することも現実でございます。
だからこそ、行政として早期に全体像を示し、段階的なスケジュールをもって、住民の皆様の安心と、納得を得る努力が求められています。以上を踏まえ、区長に以下、2点についてお伺いいたします。
1、施設整備の全体構造とスケジュールについて。
和泉公園敷地への移転建て替えにあたり、学校に隣接する土地の購入、旧泉ポンプ所跡地の活用、和泉公園との一体的な整備構想について、区長として基本的な御所見をお伺いいたします。また、校庭と公園の兼用を前提とした都市計画の整備も含め、これまでの検討状況、そして今後、どのようなスケジュールで整備を進められるのか、現時点での見通しを明らかにして
いただきたいと存じます。
2、周辺交通への影響と安全対策について。
移転建て替えに伴う交通動線の変更、とりわけ、横断歩道の移設や交差点の改良などについて、区は現時点でどのように評価されているのかお考えをお伺いいたします。これらは地域の安全と利便性を直結する課題であり、警察などの関係機関との協議を前提とする事項でもあり、したがいまして、対策の具体化には時間を要することが見込まれます。それだけに早期の方向性の提示と、地域への丁寧な説明が重要です。
地域住民の皆さんが将来にわたり安心して暮らせる環境を確保するためにも、区として今後どのように取り組んで行くのか、具体的な見解をお示ししていただきたいと思います。
最後に、
【6】千代田保健所の機能見直しについて
お伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機を経て、保健所に求められる役割は平時、有事を問わず、かつてなく多岐にわたるものとなりました。さらに、近年頻発化する自然災害や、都市型災害のリスクを踏まえると、保健所は地域の健康拠点であると同時に、災害時には医療救護や情報収集の中核としての役割を持っております。
この点について令和6年第4回定例会において我が会派の大坂隆洋議員が指摘を行い、区からは災害時における速やかな情報集約や医療救護の拠点としての機動的な役割を果たすため、DXも含めた機能整備が必要との答弁がございました。
しかしながら、その機動的な役割とは具体的に何を意味し、また、DXを含めた機能整備がどのような内容を伴うのか、区民や議会にとっては明快とは言い難いのが実情です。
そこで、まずお伺いします。
区が想定する災害時の機能的な役割とは、具体的にどのような機能や対応を意味しているのか、御説明ください。
また、DXの導入によってどのような業務改善や機能向上を見込み、どのようなスケジュールで整備を進めていく御予定なのか現時点での見解をお示ししてください。
次に、保健所機能の物理的配置について申し上げます。
現在、千代田保健所の一部は、コロナ禍の最中であった令和3年3月に暫定措置として、千代田会館に分散移転され、現在もその状況が続いております。人口増加が続き、感染症や災害対応など、多様な役割が増す中で、このような分散体制が恒久的に適しているとは考えにくく、また、千代田会館自体の将来的な利用の見通しも定まっておりません。
もはや暫定対応にとどまるべき段階にはなく、全長期的な視点から本格的な再編を検討するべき時期であると考えます。
合わせて、現在進行中の九段南一丁目周辺の再開発事業において、保健所機能を含めた公共施設の再配置の可能性を検討することも極めて重要な視点であると思います。災害時に的確に適合する体制を構築するのに広い観点からの検討が求められています。
現在分散している保健所の整備、再編について、区としてどのような方針かお示しください。
九段南一丁目再開発等の関係で、保健所の***移転、再構築の可能性をどう捉えていくのか、あわせて、区役所機能全体の配置をどう再構築していくのか、現時点でのお考えをお伺いします。保健所は健康危機管理、地域保険、災害医療の要であり、区民の命と暮らしを守る最前線です。
だからこそ、将来を見据えた、持続可能で信頼される体制の構築に向けて、今こそ議会と行政が知恵を出して議論を進めるべきと考えます。
以上、区長並びに教育長、関係理事者の誠意ある答弁をお願いいたします。