令和7年を振り返って
令和7年を振り返って
〜変わり始めた政治と、停滞する区政。その中で〜
例年どおり、元旦から1月3日まで神田明神の境内に立ち、新年参拝に訪れる多くの皆さまと直接お会いし、新しい一年のスタートを共に迎えました。区民の皆さまからいただく率直なお声は、私の政治活動の原点です。
■ 大きく変わり始めた選挙のかたち
本年は千代田区長選挙の年でした。現職の樋口高顕区長が再選を果たしましたが、無所属のさとうさおり氏が2位に食い込み、多くの人に衝撃を与えました。既成政党の支援を受けず、個人のSNS発信を中心とした選挙戦で支持を広げた結果であり、地方選挙のあり方が大きく変わりつつあることを象徴する出来事でした。
この流れは7月の東京都議会議員選挙にも波及しました。さとう氏は現職議員を破り当選を果たし、選挙手法・有権者意識の変化を改めて実感する結果となりました。
私は千代田区議会自由民主党会派の幹事長として、区内を回り自民党公認候補の支援に全力を尽くしましたが、結果は想定外でした。地方政治においても「これまで通り」が通用しない時代に入ったと感じています。
一方、自民党としては、高市政権への高い支持を背景に党員が増加していることは前向きな材料でもあります。
■ 停滞する千代田区政と、活かされない財政力
千代田区政は、官製談合事件や斡旋収賄事件の影響が尾を引き、依然として停滞局面にあります。区職員の現場では、前例踏襲や事なかれ主義が目立ち、積極的な政策展開が見られません。
しかし一方で、千代田区の財政は極めて健全です。
基金残高は約1,237億円、区債はゼロ。全国でも稀な財政力を有しています。
だからこそ私は、この財政力を活かし、防災、教育、子どもの居場所づくり、安全対策など、将来に直結する分野へ思い切った投資を行うべきだと強く訴えてきました。
■ 令和7年に取り組んだ主な課題
本年、区議会で特に力を入れてきたテーマは次のとおりです。
- 子どもの遊び場整備
ボール遊びができる公園・広場の確保や、低未利用地(旧外神田住宅跡地など)の活用を提案。神田橋公園の新設により、一歩前進しました。 - 町会・地域コミュニティの活性化
地域を支える町会の弱体化が深刻であり、調査・検討に着手しましたが、十分な成果には至っていません。 - 不登校児童・生徒への支援
夜間中学校の新設は実現していませんが、居場所づくりは着実に進展。ただし、さらなる拡充が必要です。 - 通学路の受動喫煙対策
通学路に設置された喫煙所による健康被害防止策は、残念ながら未実施のままです。 - 落書き・張り紙対策
神田地域で急増する悪質行為に対し、組織的な対応体制は構築されず、個別対応にとどまっています。
■ 今年3月以降、重点的に取り組んでいる課題
- 旧外神田住宅解体後の公共施設活用(キャッチボールができる広場の確保)
- 広報・広聴体制の見直し、災害時の情報発信強化
- フェイクニュース・誤情報への対応と訂正の仕組み
- 町会・地域コミュニティ支援
- 地域経済の活性化
- 中高生世代応援手当
- 和泉小学校・いずみこども園の施設整備
- 千代田保健所機能の見直し
→ 「千代田区に住めば健康寿命が延びるまち」の実現を目指します。
- ドローンの防災・生活支援活用
- 映像撮影・アニメ聖地巡礼に伴う地域トラブル防止と行政DX
- 不登校児童・生徒の居場所づくり
について、継続して議会質問を重ねてきました。
■ 再開発の停滞と、厳しい社会情勢
区内外の再開発事業は軒並み停滞しています。中野区庁舎や中野サンプラザ、江戸川区庁舎再開発なども、工事費高騰により計画の見直しが相次ぎました。大規模再開発の前提条件そのものが揺らいでいます。
世界に目を向ければ、トランプ関税による経済混乱、国内では米価高騰や物価上昇など、暮らしに直結する不安が続きました。
■ 私自身の一年
私生活では、孫と映画を観る時間に癒やされる一方、10月には伊豆大島でドローン国家資格(二等)を取得しました。防災や地域支援への活用を見据えた挑戦です。
■ おわりに
課題は山積みですが、立ち止まるわけにはいきません。
区民の皆さまの声を力に、来年も現場を走り続け、実現する区政に全力で取り組んでまいります。
令和7年12月24日
千代田区議会議員小林たかや

