たかや第4回定例会ちよだの声、代表質問(首長多選の弊害と石川区政の課題)全文

平成24年第4回定例会に当たり、ちよだの声の代表質問をいたします。
まず始めに1.首長多選の弊害について、お伺いします。
今日、日本では首長の多選について、さまざまな議論がされております。
現時点では首長の多選を禁止する条例は、条例化自体は、憲法論議もあり難しいとされていました。平成11年総務省が「多選禁止は憲法上許される可能性があり、国民の間で十分な論議が必要」と見解を示し、平成12年地方分権一括法施行以降、日本の各所で条例化の議論が沸き起こり多選の弊害が市民の共感を得るようになった背景には、うなずける要因が多々あるものと感じます。総務省は平成19年には、「法律に根拠を有する地方公共団体の長の多選制限については、憲法上は違反ではない」との見解を出ており、今後法整備が必要という報告書をまとめました。首長の多選の弊害が議論されている自治体のほとんどが、3期12年をもって多選としています。千代田区長の任期を振り返ると、昭和35年から遠山景光区長が2期、昭和48年から高橋銑一区長が1期、昭和56年から加藤清政区長が2期で、3期を勤めた木村茂前区長が最長でした。石川区長はまだ、今後のことについては表明されておりませんが既に3期12年満了間近です。大変厚かましい要請かもしれませんが石川区長が実施し、成功を治めている功績部分は継続し、好ましくない状況は改善して戴くためにも区長自身が例えば千代田区の若手部課長などで有能な職員を引き立て全力で支えるから首長としての手腕を振るって欲しいというようなことは、お考えにならないものでしょうか。地方では、高齢首長のあとを担い、若い部長や課長が首長として活躍している例が多く出てきています。例えば、まちづくり条例で有名なニセコ町長は財政課長出身者でした。現中野区長は、介護保険課長出身であり、自然エネルギーで町づくりを推進している高知県檮(ゆす)原(はら)町でも名物町長が若手部長に席をゆずりました。こういう首長の引き継ぎ方もあります。
そもそも首長の権限は、とても強いものです。地方は二元代表制といっても、実際は、大統領制に匹敵する強大な権力を持ちます。政策立案から実施に至るまでを行い、予算編成権、職員の人事権、土地利用の許認可権、補助金を各種団体に支給するなど強大な権限を一手に握ります。
国では、これまで述べたとおり首長の多選について、厳しい議論がなされています。
一般的に多選の弊害と言われている点を挙げると次のようになります。
(1) 独善的傾向が生まれ、助言を聞かない等の政治の独走化を招く。
(2) 人事に偏向をきたし職員任用に歪み(ゆがみ)を招く。
(3) マンネリズム等により職員の士気が沈滞する。
(4) 議会との緊張感が欠如する。
(5) 長期にわたって政策が偏り、財源の効率的使用を阻害する。
(6) 日常の行政執行が事実上の選挙運動的効果を持ち、それが積み重ねられる結果、
公正な選挙が期待できなくなり、新人の立候補が事実上困難になる。
(7) 首長の判断で議会を開かず、その結果、専決処分が乱用される。
一般的なこれらの指摘事項について、私は、いくつか思い当たることがあります。  例えば、①旧庁舎の跡地利用にみられる区有地の利用決定プロセスの問題、副区長の突然の解任②議会から決算を不認定されても、意に介さないかのようにみえる予算編成をする。③財源の効率的使用の点では、湯河原千代田荘など保養所への偏った予算や区長選挙、度ごとの町会補助金の増額など。④日常の行政執行が選挙運動的なものとしては、毎年、町会長夫妻や婦人部長を高級ホテルに懇親の名目で会食会に招待する等です。
これらのことを思い起こせば、多選の弊害を否定できない状況があります。
ここで質問します。                              私は、首長の多選がいけないとの主張を一概に支持するものではありません。よい多選もあれば、悪い多選もあると考えております。ただし、多選といわれる首長は、最低でも多選批判に正面から答えていかなくてはならないと考えております。
石川区長は、まだ次期の出馬を表明していませんが、3期の任期を来年の2月に終える、この時点で
① 首長の多選について、どのようなお考えですか。
② 3期目の残る任期の間で何をするのですか。
石川区長!!それぞれどのような見解をお持ちかお答えください。
2.次に、石川区政の課題について、お伺いします。
石川区政の3期目が来年2月で終わりを迎えます。平成13年2月に石川区政が誕生し、就任早々より、千代田区政史上これまでにない日本初の政策をトップダウンで進めて行った経緯がございます。
先ず、目をひいたものは、
1. 千代田市構想の発表
2. いずみこども園の新設
3. 罰則付き、路上喫煙禁止条例の制定
4. 区立中高一貫校「九段中等教育学校」の創設 などです。
勿論、これらを可能に成し得たのは与党の区議会多数派の背景があったためです。この間、石川区長は人事面で千代田区出身の生え抜きである前大山副区長を事務方のトップに据え、盤石な体制を築き上げました。
しかし、行政委員の選任には社会福祉協議会会長に大手ゼネコンの会長や教育委員に大手不動産会社の元社長を就任させるなど大企業の陰が見え隠れする異例な人事を展開しました。区民は盤石な執行体制や日本初の政策に感心するより、江戸開府400年事業や地域活性化事業のイベントに大盤振る舞いで税金をつぎ込むことなど今までの区政ではなかったと強く感じたと思います。イベントが数年続き、石川区長がイベント区長と呼ばれるようになった所以であるわけです。
石川区長は職員人事でも大ナタを振るったことは事実です。10年で1300人の職員を1000人に削減させました。この急激な職員削減により、保育園の非常勤職員率は4割強に達しました。この事が区立保育園の公設公営から民営化への方針を出し始めた一因となっているわけです。建築部門では専門的な人材を減らしてしまい、結果として解体作業の設計ですら民間にアウトソーシングすることになりました。職員の大幅削減や3年間の新規採用無しは職員の年代バランスを崩し、職員の極端な偏りにより先輩のノウハウを後輩が引き継げない状況が起こり始めました。
石川区政の箱物政策で特徴的なものは、PFIと定期借地権の導入でした。
PFIは、新区庁舎と富士見みらい館で実施しましたが、利用者にはとても使いにくいものでした。管理サイドの区にとっても使い勝手が悪く、これ以来、PFIの発想は区から無くなっています。
定期借地権では、
①麹町保育園(おひさま広場を含む)と民間住宅の合築計画が提案されましたが計画は変更されました。
②旧千桜小学校跡地(東松下町)では74年間の定期借地権による民間住宅と区営住宅を建設する計画でしたが、これは民間住宅が進まず膠着状態です。
③旧庁舎跡地では、高齢者サポートセンターを新設して、九段坂病院を建て替えで合築し九段坂病院に区有地の8割部分を定期借地権で50年貸し付ける計画が提案されました。これは、区民説明がいまだ不十分で区民は、全体的なことは知りません。
ここで指摘できるところは、どちらの政策も利用者、区民の声が届きにくく、いずれも将来につけをまわすものでした。
石川区政3期を終了するにあたって10年前に目玉政策であった罰則付き、路上喫煙禁止条例についても連合町会長協議会より、昨年に続いて区立公園・児童遊園における喫煙対策の要望が提出されたことからわかるように、いまだに少なからぬ問題をはらんでいます。
ここで質問します。
石川区政は就任当初から日本初の政策を打ち出しましたが、それ以後やりっ放し状態のものが見られます。それらをどのように収拾するお積りですか。代表的な下記の点についてお答えください。
1点目は、路上喫煙禁止条例についてです。
路上禁煙地区の禁煙が進んだ反面、公園・広場に喫煙者が集中し、喫煙場所と思われるような事態になってしまっています。条例制定後10年が経過し公共の場での受動喫煙防止が進む中、公園・広場での喫煙は深刻な問題となっていますが、どのように対処していくのでしょうか。
2点目は、(仮称)東松下町計画についてです。
(仮称)東松下町計画が民間地権者とゼネコンのスターツコーポレイションの間で膠着状態になっている現在、この計画は、やりっ放しでよいのでしょうか。
3点目は、地区計画についてです。
地区計画は、現状6割程度ですが空白地の対処どうするのですか。地区計画がかけられない場合のルール化はしないのでしょうか。
4点目は、職員構成のアンバランスについてです。
アンバランスな職員構成や専門職の登用をどのようどのように認識していますか。
5点目は、住民参加、参画の仕組みについてです。
住民参加と参画の仕組みの不備をどのようどのように認識していますか。
6点目は、補助金についてです。
補助金の見直しについては、ここ数年千代田区制をゆるがす出来事として、町会補助金の横領事件として、刑事事件にまで発展しており、区議会は再三、補助金の適正化に向けてアクションを起こすように促して参りました。本年度、補正予算の修正案で補助金のあり方検討は、町会の補助金に限定せず全ての補助金を対象に行なうべきであり、議会と十分に調整した上、実施すべきと指摘しましたが、いまだ全面的見直しがなされておりません。どのように対処していくのですか。

上記の点について、区長並びに関係理事者の明快な答弁を求め「ちよだの声」の
代表質問といたします。