たか第1回定例会ちよだの声、代表質問(消費税増税について・補助金の見直し)全文

平成25年第1回定例会に当たり、ちよだの声の代表質問をいたします。
まず始めに「相続税増税について」お伺いします。
1月24日に自民・公明党与党が平成25年度税制改正大綱を発表し、29日には、同大綱が閣議決定されて今国会に提出されております。民主党政権時代から相続税大増税が確実視されておりましたが、現政権にほぼ同じ内容で引き継がれ、所得税や相続税の最高税率引き上げなどを盛り込んだ同法案が、年度内に成立する公算が大きく、増税が現実になる見通しとなりました。相続税につては、基礎控除枠は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」から「3000万円+600万円×法定相続人の数」へと大きく減り、財務省の試算では、東京の都心3区、千代田区・中央区・港区では4人に1人が、相続税の課税対象になり、たまたま、地価の高い都心に住んでいるだけで納税しなくてはならない事態が発生します。不動産バブル時代、千代田区では相続税が払えず去っていく人が次々と出現して、都心に住み続けたい区民にとって相続税は、酷税でした。千代田区議会は、平成4年から平成16年まで区民と一丸となってまち壊し、事業継承、居住継続を阻む原因の相続税が軽減されるよう国に要請活動を続けて参りました。その甲斐もありここ数年は、まちも随分落ち着いておりました。しかし、今回政府は、不動産バブル時代に拡大した相続税の基礎控除枠を都心の過去の状況を顧みず、改正してしまいます。現在、国民の相続税課税割合は、4%程度ですが改正により6%を見込んでおります。東京国税局管内に限ると現在約7%ですが、市場では不動産バブルの再現期待が台頭しつつあり、都心での地価の底入れを考慮すると相続税改正後は、課税割合が20%~30%に膨らむと試算されております。有識者の中には、その対象者は全国平均で5割も増加するというシミュレーションをしており、もはや、富裕層だけが相続税を心配する時代は終わったと指摘しております。特に今回の相続税制増税は、千代田区のさまざまな中小零細企業、家業を営む事業者にとって事業継承もままならず、住み続ける住民にとっては生活基盤そのものが脅かされ、かつてのように事業者や住民が区外に転出するような状況が発生し、コミュニティの崩壊にもつながることが危惧されます。千代田区にとってその影響は、計り知れません。既に千代田区は、平成25年1月16日特別区長会として、「相続税改正に関する緊急要望」を自民党税制調査会に提出しました。また、平成25年度の他の改正事項も含め、税制に対する区民の不安や疑問解消を目的とした説明会、セミナーや相談会等を実施する予定です。しかし、既に税制改正が決まってしまう公算が高く、先の要望活動が功を奏するのは、かなり難しいと考えられます。区民にできることは、月並みながら、早いうちから相続について考えておくしかないのでしょうか。
政府は、千代田区という土地柄の理解が足りません。千代田区には、住み続けている住民がいないと考えているのではないでしょうか。千代田区に住み続ける住民がいることでどれだけ地域の安全や治安に貢献しているか理解しているのでしょうか。千代田区の魅力は、千代田区で営業している中小零細企業の江戸・明治・大正・昭和の伝統と文化を守り、継承し続ける家業の存在によるところが大きいのです。まさにこれは東京の魅力でもあります。神保町の古書店街や須田町の老舗飲食店街などは、かけがえのない財産です。先日の「かんだやぶそば」の火災では、どれだけ多くの庶民が悲しんだことでしょう。千代田区は、日本にとって、かけがえのない地域であり、その魅力を支える中小零細企業が今回の相続税増税で追い出しの憂き目を見ることは、かつての経験により火を見るよりも明らかです。
国は、都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域として東京を指定して多額の投資を行い、条件整備をして千代田区に再開発で高層ビルを建設し人口回帰をはかりました。人口は増加したものの国は、安全安心な環境や歴史、文化芸術を楽しむ機会の豊かさを同時に提供してくれはしませんでした。それらを維持し継承したのは、地元自治体の千代田区と区民の努力の賜物です。今後、再度不動産バブルが再燃しようとする中での相続税増税は理解が出来ません。
千代田区は、都心の相続税ついて国に理解してもらうように積極的に働きかけなければなりません。中小零細企業を守り、地域コミュニティを継続、活性化するための対策が必要です。一例ですが、その為には税制の専門家を集め、家業を継承しやすい税制の提案が必要です。住宅もしかりですが、家業を続けるための宅地や住み続けるための住宅は相続税の対象から外し、売却した時に正当な税金がかかるような仕組みを作ることです。
また、相続税制・固定資産税対策の専門家やまちづくりプランナー等の人材を多く集め、研究会を立ち上げて住み続けられる税制、都心の事業継続・歴史的建造物等を保護継承できるような税制づくりとまちづくり政策が必要です。まず、これらを実行するために千代田区として仕組み作りから始めるべきと考えております。
ここで質問します。
1.石川区長は、この事態をどのように受け止め、どのような見解をお持ちか。
2.都心のコミュニティ・文化等保存のための税制のあり方についてどうお考えですか。
3.千代田区として、税制とまちづくりがリンクした戦略的専門家、いわゆる
シンクタンクのようなものを作ることに対してお考えはいかがでしょうか。
以上、石川区長、それぞれどのような見解をお持ちかお答えください。

次に「補助金の見直しについて」お伺いします。
補助金の見直しについて、ここ数年にわたり区議会は、再三、補助金の適正化に向けて検討するよう提案してまいりました。昨年度、補正予算の修正案でその検討は、町会の補助金に限定せず、全ての補助金を対象に行なうべきであり、議会と十分に調整した上、実施すべきと指摘しました。議会の意志は、誠に明快です。しかし、いまだに全面的見直しがなされないまま時間だけが経過しています。現時点では、議会と区長と執行機関の間で補助金の見直しについて明らかに見解の相違があります。このままでは、補助金の見直しは、議会の要望とは違った形で進み、全体的な見直しが行なわれない惧れがありますので一度、問題を整理して補助金の見直しについて再度質問をいたします。

平成24年第2回定例会、ちよだの声の代表質問で、補助金の全体的な見直しを進めてほしいと次のような具体的な指摘を行ないました。まず、すべての補助金を対象にして、そのあり方を検討しなくてはならない。その為には、補助金が区民のためになっているかを見える形で議論する必要があり、それには補助金に関する事業評価シートのようなものは欠かせない材料となる。一覧表で、事業名、所管部課、事業開始年度、根拠法令、実施方法、決算額・補助率、補助対象団体名、補助の目的、補助金申請書類、補助金実績報告、課題、評価を記載した事業シートなるもので、補助金の内容が区民にだれでもわかるように情報公開するためのものです。補助金の公平・公正な制度づくりの方法については、現在の補助金制度の問題点をすべて洗い出し、1)目的の妥当性、2)補助対象の妥当性、3)使途明確性、4)類似した補助金の整理、5)交付決定のプロセス、6)補助率・補助額の基準統一、7)既得権にならないための実施期間の見直し、8)効果の検証を行なう仕組み、9)新規事業に対応できるかなど、こうしたことを問題点として整理し、補助金のあり方の具体的検討を上げました。補助金制度の見直しについては、私は、次のような方向で道筋を示しました。1)現在ある補助金を一旦白紙に戻し、新しい制度を創設する。2)新制度は、公募による補助金制度とする。3)重点施策のための補助金制度とする。4)一定期間ごとに補助金事業を見直す。5)第三者機関を設置する。6)区民に情報の公開と提供を行なうなどの提案をいたしました。

石川区長は見解として、
補助金については事業化ということで各部に検討をお願いしている。しかし、なかなか簡単にはいかない。使い方、目的をきちっと庁内で内容が把握できるようにする。どういうフィールドで今後どの問題をやるのか、さまざまに庁内の議論を進めながら、補助金のあり方全般を議論したいと思っている。
そうした中で、どういう形で議会とこの問題についてご議論するのかということはまた別途、考えていきたいと思っていると答弁しています。

執行部の見解は次のようなものです。
個々の補助事業の中身について、財政課長は財政課として詳細に把握していないけれど各部各課において全庁的に補助金をできる限り、事業補助化にして透明性、公平性を高めていくという、見直しも含めて取り組んでいる。予算あるいは決算、予算編成の時期をとらえて、その課題は深く認識しており、各部任せではなく全庁挙げて、その課題解決をしてまいりたい。客観性をどうやって担保するのかということは課題として十分に認識している。できる限り、団体補助から事業補助ということを考えながら、検討あるいは見直しを進めてきている。
団体補助から事業補助へという方向について随時見直しを進めている状況の中で、ゼロベースでの見直し、それ以前に全ての補助金に対してその支出目的と使途について、まず、点検することが先である。全庁的にまたがる膨大な調査であり、個人に対する補助金を除いて、千代田区では109の補助金があり、支出している団体は800以上、900に近い数に及んでいる。従がって、その支出の目的と使途について点検に相当な時間を要する。現在、この調査・検討を実施している。
もう一点の事業シートの作成については、全部の事務事業をこういったシートを使って区民にお示しをする姿勢は必要なものと認識しているが、新しい仕組みとして評価シートのようなものを全事務事業に新たに導入をして評価をするという場合には、その作成をする職員に負担感がある。現在、主要施策の成果の中でつくり上げている様式は、コストの分析や評価の内容を加えたりして、議会の意見なども踏まえてつくってきた形であり、まだ内容については改善するところもある。こういう経緯があって今のスタイルになっているので、これに新しい仕組みを組み入れていくということになれば、再構築することの必要性について、常任委員会あるいは議会の場でご論議をしていただいて、全体の総意とまでは言わないまでも、多数の意見として全事務事業の導入をして、評価した方が良いということになれば、執行機関として早急に対応する必要があると思っている。
補助金の透明性、公平性の担保という課題は重々、承知をしている。しかしながら、補助金そのもの全体を捉えて事務事業評価シートで分析をすべきという考えには、現段階のところで至っていない。
補助金の見直しを内部で検討を進め、最終的には決算の結果を踏まえて、予算編成の段階で目的や効果を十分に検証して、各常任委員会並びに予算・決算、それぞれの分科会の中でご審議をしていただきたい。
執行機関としては、団体補助から事業補助化ということで、順次見直しを進めてきたが、
事業シートの作成などで補助金というものを根本的に見直さなければいけないとは、認識をしていない。
以上2点を軸に内部で検討中であるが、最終的には、常任委員会、予算決算、それぞれの分科会の審議で足りる。企画総務委員会だけで個別に判断をするというものではなく、個々の担当の常任委員会なり分科会の方で、その他の事業と同様に議論をして積み上げていくべき性格のものと認識をしている。仮に補助金全体を、全て、例えば財政健全化あるいは歳出削減という観点からゼロベースで見直さなければいけないという事態に早急に取りかからなければならない財政状況であるということになれば当然のことだが、今はその状況にはないと答弁している。
上記の答弁をなぞるように2月20日に開催された企画総務委員会の報告は、補助金の使途確認調査概要を示しただけでした。

結論としては、区はやるやると言っていても、全面的な見直しはせず、方向性もやり方も議会が指摘していることを全くやっていないのです。冒頭でも、言いましたが昨年度の補正予算の修正案で嶋崎委員長が全議員を代表して、全ての補助金を対象に行うべきであるとの提案理由を事実上、無視しているものです。議会全員一致で公式の場で確認したにもかかわらず、先程のような答弁を繰り返しています。今のやり方では、全体的見直しは行なわず、団体補助から事業補助化をするだけです。これでは補助金の見直しは部分的見直しに過ぎず、区長も執行機関もそれでよいと考えているのではないでしょうか。
ここで質問します。

まず、1.数年来、ずっと補助金の見直しを指摘してきたがなぜ、こんなに時間がかかっているのか。

2.石川区長は現在の補助金の見直し状況をどう考えているか、現状をどう説明するのか。
3.石川区長に補助金の全面的見直しの決意はあるのか。

4.議会では全ての補助金の見直しの合意が取れているのに区は、一部の見直ししかしないのはなぜか。
上記の点について、お答えください。
次に補助金の全面的な見直しのためのツール作りについて、質問いたします。
補助金の全体的な見直しには、行政の事業の内容を統一のフォーマットでわかりやすく説明する事業シートは欠かせないものです。議員も区民も「予算・決算書」や「事務事業コスト一覧表」を見ただけでは行政が行なっている事業の内容を具体的に知ることが出来きません。事業シートを示すだけで補助金が実際にどのように使われているのか、本当に役に立っているのかが、かなりわかります。事業シート作成が全ての出発点です。これがなければ、相対的な議論すら出来ないのです。それに千代田区は既に事業シートの作成を行なっています。事業シートを作った実績があり、能力があり、実物がある。これを全ての事務事業で作成しなくても、現在問題になっている補助金について作成すれば良い訳です。補助金対象の約110事業を一度作成すれば、将来も使用できます。補助金の事業シートを作成する意義はあると思います。補助金の見直しに関して、現時点での区長の役割は補助金の全面的見直しを決断し、ツールを準備して、補助金のあり方検討会を住民の参加・参画で作ることです。区長は、補助金を誰につけるかを決める人ではありません。区長は行政目的を達成する上で必要と考えているものなら、議会に十分な説明をして予算化することが区長の補助金に対する考えのはずです。
ここで質問します。
① 事業シート作成が全ての出発点と考えるが、現在問題になっている補助金ついて、約110の事業シートを作成してはどうか。
② 事業シートは、住民と話をするツールでもあると考える。これを公開することでさまざまな意見を聞くことが出来る。公開しては、どうか。
③ 補助金のあり方検討会を専門家や住民を入れて進めてはどうか。

補助金の全面的見直しへの道筋は、困難を極めます。しかし、4期目を迎えた石川区長は、3期時のやり残した補助金の見直しをやり遂げなければなりません。

上記の点について、区長並びに関係理事者の明快な答弁を求め「ちよだの声」の代表質問といたします。