ちよだの声 代表質問を たかや致しました。(全文掲載)

平成23年第4回定例会に当たり、ちよだの声の代表質問をいたします。
1. まず、最初に中学校選択制の再検討について質問をいたします。
9月の環境文教委員会で、来年度の麹町中学校と神田一橋中学校への入学希望者数に約3倍の差があると報告されました。当初より麹町中学校は、新校舎が来年4月スタートすることもあり、希望者が増加することは、予想されておりました。実際、現実この状況に直面すると一抹の不安を感じます。今までも、校舎改修に伴い、仮校舎は、敬遠される傾向にありましたが、今回のような極端な状況は起きませんでした。私は、このような偏りが出るのは、そもそも中学校選択制に原因があり、選択出来る中学校が2校しかないことで顕在化していると思います。今回2校制の偏りが露呈しましたが、九段中等教育学校が新設され九段中等教育学校の区民入学枠が80名に設定されているため、80名は在来中学校へ入学せず、在来校の生徒数が減少してしまうのは、当然のことでした。中学校選択制がスタートする時から、偏りが発生するのは認識されていたのではないでしょうか。
さて、では、なぜこのような中学校選択制が採用されたのでしょうか。その経過をひもといてみますと、平成10年6月法律改正により、公立の中高一貫教育校の設置が可能となりました。これを受けて、本区の中等教育における教育改革は、新たな教育システムをつくるという視点から始められました。その中心施策は、中高一貫教育校の新設や特色ある中学校づくり、学校選択制、学校経営面での説明・結果責任の明確化と学校評価の厳格化などでした。また、区が中高一貫校を設置することで学校選択の幅を広げようとするものでした。
平成12年8月に千代田区中学校教育検討会報告がなされ、その実現に向けて中高一貫教育校の新設、在来型中学校の充実が検討具体化されました。中等教育の将来像の3つの柱は、①区立中等教育学校の1校新設②2校の在来型中学校の充実③学校選択制の実施でした。学校選択制は、自己選択と自己責任に基づく教育を推進し、主体的な学びの姿勢を育て、学校間の切磋琢磨による教育の活性化にも役立つ制度であるとしていました。平成11年10月に学校選択制に関して「千代田区の中学校教育に関するアンケート調査」を行なって、小学6年生の74.2%、中学1、2年生の49.9%が学校を選びたいという結果も出ていました。平成13年8月にまとめた「千代田区の中等教育将来像試案」の説明会で、学校選択制を先行して実施した方がよいとの意見が多かった等を考慮し、平成15年から中学校選択制は実施されました。
一方、他の自治体の学校選択制への対応は、どのように展開していたのでしょうか。最初に学校選択制を導入したのは平成10年度から始まった三重県の紀宝町(きほうちょう)で、平成12年には品川区が導入をしました。現在、東京では、9市、19区がこの制度を採用し、他の地域にも拡大しています。平成18年の内閣府の調査では、小学校の14.9%、中学校の15.6%が導入しているとされています。
内閣府が平成17年に行った学校選択制導入についての調査によると保護者の64.2%が導入に賛成し、反対は、10.1%でした。主な理由として、賛成は、学校間の競争による教育内容の向上、反対は、学校間格差の拡大でありました。この結果を見ると公立学校の選択制は、今後も拡大していくと思われます。
しかし、ここに来て選択制度を導入した自治体が見直しを始めました。
群馬県前橋市は、平成16年度より小中学校の学校選択制を導入していましたが、平成23年度より学校選択制を廃止することを決めました。
学校選択制を導入した結果、地域との関係が希薄化したことや、各学校ごとの生徒数の偏りが生まれるなど弊害が生まれたことが原因だそうです。
江東区は、学校選択制による地域コミュニティーの崩壊を防止するという観点から、小学校における学校選択制を平成21年度より選択範囲を「徒歩圏に限る」と変更しています。
長崎市は、平成17年度から特色ある学校づくりなどを目的に学校選択制を導入しましたが、平成23年度の新入学生から学校選択制を見直します。制度導入から5年、特定校への人気集中などの問題点が顕在化したため、本来の通学区域外の学校に通う場合の要件を厳格化していくとのことです。
さて、ここで学校選択制のメリットとデメリットを整理してみましょう。
メリット1.学校間の競争により切磋琢磨して教育内容が向上する
2.個性にあった学校で学ぶことができる
3. 特色ある学校づくりが推進できる
4.保護者の学校に対する関心が向上する
デメリット
1.特定の人気学校に生徒が集中し、学校間格差が広がる
2.地域との連帯感が希薄(きはく)化する
3.保護者による学校選択は進学実績以外には立地や噂など
根拠の無いものに左右され情報不足により、また風評に
より生徒数が増減する
4.新校舎や施設がよいところ、冷暖房完備、温水プール等が
ある所に希望者が集中する。
5.通学距離が長くなることに伴い安全確保の問題が生ずる。
などが挙げられます。
千代田区の中学校は、2校しかないので、今後、生徒の偏りが発生し、1校が小規模校になってしまった場合、その歯止めがきかなくなり、2校体制が1校体制になりかねません。また、本来の公立学校として、どこの学校でも同様の教育の提供受けられなくてはなりませんが極端に生徒が減少した場合、授業やクラブ活動、課外授業にも支障が出てきます。中学校選択制が現在の千代田区の教育に合っているのかどうか冷静にとらえて、考え直す時期に来ているのではないでしょうか。
ここで質問します。①中学校選択制の再検討をすべきではないですか。
お答えください。
次に②2校体制の場合、教育内容に関わらず校舎や設備により生徒数が大きく変動してしまいます。新築麹町中学校に入学希望生徒が殺到している現状をどのように捉え、どういう対策が練られておりますか。お答えください。
次に今後、長期的に新校舎の麹町中学校に生徒が集中することが予想されます。神田一橋中学校は、築30年を経過して、大規模修繕がなされておりません。修繕は、平成17年にプールの改修、平成18年に屋上の芝生化工事、マルチメディアルームの整備を行なっただけです。今後の修繕計画は、どうなっているのですか。民間でも通常は、大規模修繕工事が10~15年に一度行われます。今後もし、大規模修繕をするのであれば、中学校選択制のデメリットをカバーするためにも、神田一橋中学校のリノベーションを提案します。リノベーションとは、用語解説によりますと、建物の経年にともない、時代に合わなくなった機能や性能を、建て替えずに、時代の変化にあわせて新築時の機能・性能以上に向上させることで、具体的には、耐震性や防火安全性確保し、耐久性を向上させる、冷暖房費などのエネルギー節約のため、IT化など変化する建築機能の対応・向上のために行われるもので、外壁の補修、建具や窓枠の取り換え、間取り変更、給排水設備更新、冷暖房換気設備の更新などを言うようです。
ここで質問します。③神田一橋中学校のリノベーションを検討していますか。
リノベーションを行う考えはありますか。お答えください。

2. 次に「九段中等教育学校について」質問します。
前述の通り、本区の中等教育における教育改革は、新たな教育システムをつくるという視点から始められ、その中心施策は、中高一貫教育校の新設や特色ある中学校づくり、学校選択制、学校経営面での説明・結果責任の明確化と学校評価の厳格化などでした。まさに、中心的課題は、中高一貫校を設置することでした。
九段中等教育学校は、創設時に様々な特色ある教育内容を掲げました。
1. キャリア教育の徹底
2. 進学指導の徹底
3. 国際理解教育の充実
4. コミュニケーション能力の向上
5. IT教育の展開
6. 充実した個別指導の導入
7. 体験を通して身につける教養教育の推進
8. 教育環境の整備
8項目に亘り検討されることになっておりましたが実際、この特徴は、教育にどのように活かされたのでしょうか。
そこで、質問します。
既に2回の卒業生を送り出しておりますが上記8項目の特徴を活かし中等教育学校の目指す教育は、達成されているのですか。お答えください。
次に、質問します。教育理念は、なかなか目に見えません。そこで、
大学への進学率、進学先、就職等の実績は、どうなったのですか。
その結果をどのように評価しているのか。お答えください。
次に経費面について、お伺いします。
中等教育学校開設時に財政負担の試算を行っております。
区立中学校の経費の内訳は、教員の人件費と学校運営費に分けられ、教員の人件費は、国と都が負担し、学校運営費は区が負担します。中等教育学校は、前期課程(中学校部分)の学校運営費を区が負担し、後期課程(高等学校部分)は、全額、区が負担します。中学校統廃合前5校時の経費は、総経費6億5千9百万円、3校体制の中学校部分が6億4千6百万円、高等学校部分が5億3千3百万円と試算されておりました。
ここで、質問します。
③ 前5校体制と現体制の学校経費実績は如何、どのようになったのですか。
試算後、現在の経費がどれだけかかっているか、比較されたことがありませんので
ここで、お示しください。
3. 次に「日比谷図書文化館の活用について」質問します。
日比谷図書文化館については、まちかど図書館などとは根本的に違い、貸し館業務と読み聞かせ業務などを主に行うものではありません。博物館を併設し、様々な利用の仕方があり、区民にとって今後の活用が期待されます。今回は学校教育との関係に絞って、質問します。
まず、11月4日に日比谷図書文化館がオープンしましたがこの図書文化教育施設を教育委員会は、どのように受け止めていますか。
小中学校・中等学校が学校教育の一環として日比谷図書文化館を活用し千代田区の文化・歴史などを学べるように指定管理者とすでに連携がとれているのですか。指定管理者は、区が行政処分行為を任せているので、来年になって校外学習を入れて欲しいなどと言っても自由がききません。教育委員会が区の施設として使いやすいようにはできません。既に要求水準や契約で活用が出来るようになっておりますか。どのようになっているのかお答えください。
4. 次に「地域活性化策について」質問します。
地域活性化策については、まず始めに6出張所を地域活性化の拠点としたいということです。H23年10月発表の区民世論調査によると、最近1年間でもっとも利用した施設は、出張所が66.5%と特に多く、区民にとって出張所は、身近な存在であり日々の生活に直結している施設です。そこで、この出張所を地域の核としてあらためて活用していきたいのです。
現在、出張所には、せっかく地域情報主査を配置しているものの、その役割がまちに見えない。出張所自体も、そこで何が出来て何が出来ないか全体の業務内容がわからない。千代田区には、6出張所のホームページが存在しませんし、あったとしても何が出来るか示されていません。お隣の港区では、区内を5地区に分けて、5つの総合支所を置いています。総合支所で何が出来るか、総合支所でできる主な手続き・相談事をホームページ上に一覧表で示していて、非常にわかりやすいものです。一度、港区のホームページをご覧いただき参考にして、ホームページを作成してほしいと思います。
そこで今回の提案は、出張所が新たに担う役割は、出張所をまちづくりの拠点にした組織と考えております。従来の業務、住民登録、証明書の発行、各種申請などの手続きは、当然扱います。港区のように本庁の権限を出張所に移管し、各出張所に地域情報が集まるようにして、まちづくりを進めます。3.11の大震災の教訓を活かして、いつでも情報交換が出来る防災の拠点も兼ね備えます。まちの情報収集、人口動態等のデータをとり、今後6出張所単位で行い地域情報を集約する。出張所に出張所管内で再開発をする場合、500分の1の模型を千代田区の指定した規格で作ってもらい、開発終了時譲り受ける。その後はレゴのようにくっつけていき、完成させて出張所に置く。500分の1のまちの模型があれば、ヒューマンスケールでまちを見ることが出来る。まちを実感したければ、超小型カメラを模型のまちにつければよいでしょう。出張所にまちづくり協議の場を提供する。まちづくり会議、学習の場を常設して、ここにくれば、建て替え、共同化などまちづくり情報がありデータがある。各種相談も出来る。まちづくりのための議論ができる。地域の人々が集まる仕組みを再構築する。講座講習会を復活させたり、町会を積極的に支援し町会入会、勧誘のお手伝いをして、町会加入率を上げる応援する。
これが出来るためには、本庁の権限移管と共にまちづくりのわかる人材を配置しなくてはなりません。
そこで、質問します、
出張所を地域活性化の拠点とするように、まちづくりの核とするような新たな組織づくりの考えはありますか。
お答えください。
②出張所単位を一つのエリアと考えて、エリアマネージメントを展開する考えはございますか。
お答えください。
最近、大手町、丸の内、有楽町地域に出向くことがありますが、生活実感として、住めるのではないかと感じております。今後、大丸有の再開発は、隔地住宅、いわゆる飛ばしによる手法を見直し、大丸有地区内にも居住スペースをつくる時期が来たのではないかと考えますが如何でしょうか。
お答えください。
5.最後に「(仮称)東松下町計画について」質問します。
(仮称)東松下町計画は、現在デッドロックになっております。用語解説によりますと
デッドロック(Dead lock)とは、英語で行き詰まりを表します。一般に複数(二つ以上)のプロセスが相互に、相手が保持している資源に同時アクセスを試み、それぞれ相手側の要求が完了しないために自分のタスクを完了することができず、資源の解放もできないために、相互に資源の解放を永久に待ち続ける状態に陥ってしまっている状態です。
まさに、(仮称)東松下町計画のことを言っております。
現在の(仮称)東松下町計画を動かす方法は、事業者スターツさんと16地権者さんの基本合意の調印です。それでは、なぜ合意がとれないのでしょうか。それは、当たり前のことですが、16地権者さんが、デベロッパーのスターツさんと良い条件での合意を望んでおり結論がなかなか出せず時間がかかっております。行政が出る場もありません。現状では、年内合意の見込みは、そこが決着しないので限りなくうすい状況で民間住宅棟建設計画は、進みようがありません。
区と16地権者の合意がとれない理由は、かつて、千代田区の前まちづくり部長と16地権者の合意がなされていたが計画が大きく変更されたためで、その時点で区と16地権者は、新しい合意をとらなくてはならなかったのに今あるものは、16地権者と区との間で合意したオフィシャルでない前まちづくり部長との覚書で、契約ではありません。いくら事業者のスターツさんと千代田区が計画の基本合意をしたからと言っても、16地権者の条件を事業者のスターツさんが受け入れない限り、2者の合意がとれないのです。このままでは、時間が経過するだけであり事実上、(仮称)東松下町計画は、デットロックになっています。
先に実施設計を始めてしまった区営住宅は、民間棟との2棟一体計画原則があるために単独では建てられません。
もし、本計画を止めるためには、事業者スターツさんが計画から下りるか、16地権者のどなたかがやめるしかありません。
ここで質問します。
区として、この状況で、何か対策はあるのですか。
この状態が長引けば長引くほど、傷口が深くなるだけです。区として今年度に決断することを指摘します。
時間が経てば、区営住宅の実施設計が度末に終了し、実施できない実施設計に約4500万円程度の支払いが発生してしまいます。
ここで質問します。
この責任は、だれがとり、費用は、だれが支払うのですか。お答えください。
11月14日まちなか懇談会での区長発言について、お伺いします。
東松下町計画についての質問がでました。質問は、千桜跡地は、防災の拠点となるし、首を長くして待っている。なかなか進まず8年目になった。早くやって欲しいとの質問に答えて、区長は、以下の答弁をしました。
本当に申し訳ないのですけれど、なかなかまだ合意形成ができない部分があります。けれど我々の方としては、とにかくどこかで決断はいたします。これはもう、ここまできたら決断しなくてはならない。ただ、民間の方がいらして、そこがまとまるか、まとまらないかは、ありますけれど、一定のオープンスペースをつくりながら建物のところに災害用の様々なことを用意することは当然しなければならない。もうそろそろ、決断をしなくてはならない時にきている。大変ご迷惑をかけて申し訳ないが、ちょっとお待ちいただきたいと思いますと答えました。
先程の指摘の通り、既に本計画は、千代田区の手は離れているし、区は決断してデベロッパーのスターツさんとは、基本合意の調印をしております。
ここで、質問します。
ここで言う決断とは、どういう意図でどういう意味でしょうか。
決断をしなくてはならない時とは、いつでしょうか。
区長、あらためてお答えください。
上記の5点について、区長並びに関係理事者の明快な答弁を求め「ちよだの声」の
代表質問といたします。