平成27年第3回定例会 小林たかや発言全文

平成27年第3回定例会にあたり、3点に渡り質問いたします。

先ず、はじめに教育と文化のまち千代田区宣言について お伺いします。
昭和59年3月15日に「教育と文化のまち千代田区宣言」が発表されました。
宣言前文では、「わたしたちは、ここに生活し、多くの人々と連携の絆を保つ中で、このまちに誇りと愛着を感じている。しかし、東京の都市構造は日本の経済発展とともに変容し、今までの歴史的環境がこわされ、多くの仲間がこのまちを離れ、地域社会としての人々のふれあいが薄くなり、都市としての活力が失われつつあることにわたしたちは不安を感じている。」この前文に「多くの新しい住民がこのまちに入り」と付け加えるだけで30年の時を経た今でも共感できる宣言です。歴史は繰り返すと言われますが今更ながら同じような状況になっていると実感しております。
教育と文化のまち千代田区宣言では、5つの目標の達成を期しました。
この5つどれを取っても現在でも引き続き目標として掲げて遜色がありません。30年前の宣言ですが毎年、教育委員会事務局の事務事業概要1ページ目に掲載され宣言は受け継がれています。また、区役所の裏口に教育と文化のまち千代田区宣言の碑が飾られております。
今回あえて教育と文化のまち千代田区宣言を取り上げたのは、30年前の人口流出による状況により千代田区の危機を問うたのに対し、現在では千代田区の目標とした人口5万人を達成しても尚、人口流入により同じような危機と問題を迎えているからです。
この宣言は、千代田区全体に対しての問題提起であり、今ここで再度これを評価して問題としてとらえることで、次の時代の方向性が見えてくると考えるからです。
宣言の5つの目標は、
1 わたしたちは、いきいきとした地域生活を取り戻し、居住と職域の調和した、自立的で、文化の香り高いまちづくりを目指します。
1 わたしたちは、地域に根ざした人間性豊かな教育を行い、歴史的に培(つち)かわれた郷土の文化遺産を子どもたちに伝え、次の世代の市民を育み(はぐくみ)ます。
1 わたしたちは、ここに集い、働き、学ぶ人々とともに文化を高め、あらゆる機会と場を通じて、生涯にわたり学び続けます。
1 わたしたちは、首都東京の顔にふさわしい美しい環境を守り、広く世界の人々と交流を図ります。
1 わたしたちは、政策のすべてが文化の視点から見直され、展開されることを求めます。と言うことです。
現在、千代田区は、この5つの目標を達成させるため、区全体の部署で問題解決に取り組めているのか。現在の社会状況を見ると区として、それぞれにこれらの目標を達成するのが困難ではないかと考えさせられます。
ここで質問します。
平成27年3月に示された「ちよだみらいプロジェクト」千代田区第3次基本計画2015では、教育と文化のまち千代田区宣言の目標は、まちづくりの視点から、どのように受け止められて、施策にどのように反映されているのですか。
取り分け、まちづくりのルールや公共施設整備、住まい・住環境づくり、誰もが移動しやすい環境の整備、身近な緑の増加、景観を守り育てることなどの各施策の目標のどこに反映されているのでしょうか。
私は、教育と文化のまち千代田区宣言の目標が現在の社会状況下で千代田区のまちと乖離して行くことに危機感を感じておりますので区の御答弁をお願いいたします。
次に 1.千代田区における南海トラフ地震等の防災対策について 質問します。
南海トラフ巨大地震とは、静岡県の駿河湾から九州東方沖まで続く、深さ約4千メートルの海底のくぼみ「南海トラフ」で想定される地震のことです。過去 約100~150年の間隔でマグニチュード(M)8前後の地震を繰り返し起こしてきました。トラフ沿いの太平洋沿岸を強い揺れと津波が襲い、大津波が西南日本を広く襲う(おそう)可能性があり地震と連動して富士山も大噴火するかも知れないと言われているものです。
東日本大震災を受けて、国として様々な計画を進めています。
平成26年3月、内閣府の中央防災会議で「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」がまとめられました。計画の中で「防災・減災目標を達成するため、国の省庁間や地方公共団体、産官学民の連携、地方公共団体と広域連携、地域住民等、自主防災組織、地域の企業等との連携等のように、あらゆる力を結集し、社会全体で自助、共助、公助により災害対策に取り組む」ことがうたわれており、更に「防災対策が有効に実施されるためには、住民一人一人が主体的に行動することが重要」と明記されています。
また、平成26年度からの今後10年間で達成すべき目標設定として「人的被害の軽減に関し、想定される死者数を約33万2千人から今後10年間で概ね8割減少させること、また、物的被害の軽減に関し、想定される建築物の全壊棟数を約250万棟から今後10年間で概ね5割減少させることを減災目標とする」ことも記され(しるされ)、建築物の耐震強化の目標値も個別具体的に示されております。
ここで千代田区の南海トラフ大地震等に対する防災対策に関してお伺いします。

1.平成26年3月にまとめられた「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」について千代田区として具体的な対応策を検討しているでしょうか。取り組み状況についてご説明をお願い致します。
次に、私が独自に内閣府の政策立案者の一人にヒアリングした所、千代田区エリアでは「帰宅困難者」「食糧等の備蓄」「傷病者搬送」等の対策強化が期待されるとのコメントがありました。
千代田区でも、首都直下型の大地震が発生した場合、区全域で50万人に及ぶ帰宅困難者が発生すると想定されていることを受け、平成15年度から毎年1月17日に「帰宅困難者避難訓練」を実施してきましたが、東日本大震災を受け、平成23年度以降は一斉防災訓練(シェイクアウト訓練)を皮切りに、実践的な内容に改めた帰宅困難者対応訓練を実施しており、企業との連携なども進められていると認識しております。

ここで質問します。
1.「食料備蓄対策」に関してですが、備蓄食料品の選定基準と更新は、どのように行われていますか。
備蓄食料は、通常の食品に加えて、高齢者、乳幼児、糖尿病患者や各種アレルギー等の持病を抱えた(かかえた)方々も想定することが必要です。
また、避難所には必ず付いてくるペットの食料も必要になると思われます。現在、千代田区内の犬登録数は1450頭で猫も同数程度いるとするとこれらペットの備蓄食料はどうなっているでしょうか。
区の備蓄食料調達において、高齢者、乳幼児などやペットの備蓄食料に動物固有の食料事情が考慮されているのでしょうか。
どのような選定基準に基づいて備蓄食料が選ばれているのか、お答えください。
また、東日本大震災から食料備蓄の考えが新たになり官公庁や自治体、民間の食料備蓄が始まり4年半を経過しました。賞味期限5年間の長期保存缶詰が来年に期限を迎えることや予想される消費税再引き上げによる商品の入れ替え需要増も見込まれます。
官公庁・行政機関などは、一斉に入れ替えることが予想されます。

ここでお伺いします。
区の食料備蓄の更新はどのように行われていますか。更新の基準はありますか。来年以降の食料備蓄の入れ替え対策はどうしようとしていますか。 ご回答をお願い致します。
2.食料以外の備蓄に関してですが、区のHPでは、備蓄倉庫に「マンホール直結型トイレが各避難所に2台備蓄」とあり、「簡易型トイレも準備されている」とあります。しかし阪神大震災において、直接排泄物をマンホールに流したことで、汚物が固着し下水が機能しなくなり、復興を大きく妨げたとの報告があります。
これに対し、現在は汚物の水分のみを分離し、ホースで水分のみをマンホールに排出することで、下水道の機能不全を防止すると共に、汚物収容可能量を大幅に増やす災害対策トイレもあります。この方式だと、一つのマンホールに対して複数台のトイレを設置することも可能となり、実用性が高いと考えられます。
このように現状の備蓄機材に関して、実際の災害時を想定して新しい技術、商品を常に調査しながら採用基準を見直していくことも重要と考えますが、マンホール直結型トイレの見直し状況も含め、これらの点に関して区役所の考えをお聞かせ下さい。

最後に「傷病者搬送」対策ですが、国の計画では、緊急時には羽田空港が傷病者の受け入れ中継地点として機能し、新木場地区のヘリポートも中継地点として活用されることになっています。また前述の基本計画にも「国、地方公共団体等は、救助・救急効果の向上を図るため、緊急消防援助隊、警察災害派遣隊、自衛隊、海上保安庁の部隊、DMAT(災害派遣医療チーム・(ディーマット Disaster Medical Assistance Team))、救護班、さらには、これらの救助・救急部隊等と現場で密接に連携する TEC-FORCE(救急災害対策派遣隊・(テック・フォース:TechnicalEmergencyControlForce))の連携を推進するための訓練等により、より一層対処能力を向上させる」ことが記され(しるされ)ています。このような計画に対して、千代田区として災害時に各関係機関との連絡ルートの確保、担当人材育成等の傷病者搬送計画はどのようになっていますか。またその計画にのっとった人材育成、実際の傷病者搬送訓練、機材準備等は、現状どのようになっているでしょうか。
以上、区のご見解をお伺いいたします。
最後に 「補助金の見直しについて」お伺いします。
平成24年より平成26年の予算・決算議会で私は、再三、補助金の適正化に向けて検討するよう提案してまいりました。
しかし、現在でも平成26年度決算ベースで116の補助金があり1年に延べ898(約900)団体に31億円程度支払われていること、この補助団体や補助金額が毎年ほとんど変わらないことが明らかになりました。
区は、平成24年度に補助金の使途確認等の見直しに関する基本方針を示したものの、補助金自体の見直しに、まだ時間がかっかっているようです。 再三、指摘しておりますが一度補助金として認められた事業が、なかなか見直しが出来ないで出し続けているのも実情です。
私は補助金とは、区の事業を補完し、政策を誘導し新しいコミュニティーを作り、コミュニティーを維持発展させるためのものである。コミュニティーを維持し活性化させるための、まさに区民と区政をつなぐ千代田区政の基本であると考えております。
その大元である補助金の支出は、「公平、公正、平等」でなければ区政が区民の信頼を得られません。
公平、公正、平等、透明性を確保するには、区民への徹底した情報公開が必須要件です。
平成26年の決算特別委員会でも、補助金の全容を公開すべきと発言したところ、「基本的には公開する」と答弁があり、それ以降、団体等への補助金支給実績を個別補助団体名のあるもの1部だけ
区の情報コーナーに置き、あとは主要政策の成果の末尾に補助団体名のないものをホームページに掲載しただけです。
今までのコミュニティーの継続性を大切にするという点から原理原則だけで公開できないと考える執行機関の悩みも理解できる部分もあります。しかし、すでに形骸化し、硬直化し、既得権益化したかのような補助金を温存しては、新たに意欲的に活動をはじめている区民に参画、参加の機会を失わせてしまう、補助金の本来の効用(こうよう)を活(い)かすことがなくなるのではないかと心配されるのです。

ここで質問します。
1. 補助金の内容公開について、補助対象団体名の記載が本庁の情報 コーナー1カ所しかない。あらためて区の公開性透明性の認識と今後はどのように公表を実施するのか区の見解をお示しください。
2. 平成27年9月の定期監査結果報告書によると補助金について担当課に数多く監査の指摘を受けていますがその原因と理由、対策はどうなっているのか、ご回答ください。
3. 補助金の使途確認等の見直しは、どこまで、どのように進んでいるのか、併せて補助金のカテゴリーと補助率もお示しください。
4. 補助金の庁内での統一的交付基準の策定や見直しはどこまでできて、どうなっているのか、お答えください。
5. 補助金の内容が区民の誰にでもわかる事業評価シートの作成が欠かせないと指摘してきましたが現時点でのご見解はいかがですか。お伺いします。
6. 補助金の見直しは、補助金のあり方検討会により、第3者機関から意見を受けて、補助金とは、その目的意義とは、改めていかなるものなのか、区のご見解をお示しください。
7. 最後に補助金見直しの今後の進め方スケジュールについてどのように行なわれるかお示しください。
以上 区長並びに関係理事者の明快な答弁を求めて質問を終わります。